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5/8 こうなりゃ、強力な『ドル高・円安』の進行を期待する...

 日銀総裁に植田氏が就任して、一連の記者会見で彼の一通りの性格・考え方なりが見えてきました。当初から、植田氏は金融政策のハト派であること。つまり、「無理にでも現状変更して、金融緩和を止める考え方」を持たないであろうことは、予想できていました。


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2023年4月25日、衆議院の財務金融委員会

 日銀の植田総裁は、25日に開かれた衆議院の財務金融委員会で、経済や物価の現状をふまえ、短期金利と長期金利に操作目標を設ける今の「イールドカーブコントロール」という枠組みで金融緩和を続けることが適当だという認識を改めて示しました。
 俗な表現で云い切ると『安倍・黒田路線の継続を続け、金融正常化は行わない。現状の金融緩和政策を変更しない』と述べたのに等しいです。

イールドカーブコントロールによる金融緩和を継続していく

 具体的には、「経済、物価、金融情勢を鑑みて、現行のイールドカーブコントロールによる金融緩和を継続していくことが適当であると考えている」と述べ、今の「イールドカーブコントロール」という枠組みで金融緩和を続けるべきだという認識を示しました。

日銀が金融緩和を続けている理由としては...

 植田総裁は、日銀が金融緩和を続けている理由について問われ、「金融緩和政策をやめて金融引き締めに転じると、物価に下押し圧力がかかり、今の見通しよりさらに下のインフレ率が実現するというゆゆしき事態となるのを懸念し、現在は緩和政策を継続している」と説明したのです。

金融政策決定会合(4月27~28日)前に決まっていた?

 政策決定会合メンバーや日本銀行スタッフと十分検討してから、イールドカーブコントロールの是非、変更の有無を決めるのではないかと思われていましたが、正直者の植田氏は「これまでの金融政策は妥当であって、イールドカーブコントロールの継続を続ける」的な発言を堂々と行ってしまいました。137円台/ドルの円安が米FOMC前に外為市場で現れたのはこのような状況があったからです。

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日本の金融政策決定会合(4月27~28日)

 日銀は4月27~28日に開いた「金融政策決定会合」で、予測どおり金融政策の現状維持を全員一致で決めました。
 マイナス金利、10年物国債金利の誘導目標ゼロ%をいずれも維持し、10年物国債金利の変動幅もプラスマイナス0.5%で据え置いたのです。
 悠長にも、1990年代後半以降の金融緩和策を対象に「1年~1年半程度かけてレビューを実施する」ことを決めました。*レビューの意味することは、「再調査する」「再検討する」「再考察する」「再点検する」「再吟味する」「よく調べる」の他、「批評する」「論評する」「過去の出来事を報告する」「回想する」「観閲する」等の意味があります。

毎日、「10年物国債0.5%での指し値オペを実施する」と宣言...

 更に、10年物国債0.5%での指し値オペを「明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施する。」と改めて表明したのです。このように、黒田氏時代の終盤に薄れつつあった金融緩和策を、日銀という倉庫から引っ張り出して、改めて国民の面前に並べて表明しました。
 日銀は、金融市場調節方針と「整合的なイールドカーブ形成」を促すため、『大規模な国債買い入れ』を続けて、「各年限で機動的に買い入れ額の増額や指し値オペを実施」するのです。これって、強力な進軍ラッパである『金融緩和の推進宣言に等しい』ものです。


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日銀談、「2025年度の経済・物価情勢の展望」はデフレ基調...

 同会合で議論された標記展望(展望リポート)で、2025年度のコアCPIの政策委員の見通し中央値が、前年度比プラス1.6%、生鮮食品・エネルギーを除くCPIがプラス1.8%となり、目標の「2%を下回った」ようです。結果、日銀は2025年度の物価見通しは「下振れリスクの方が大きい」としたのです。言い換えると、日本では近々にもデフレが見られるというものです。これなど、2023年度も緩和継続を続ける「理論的裏打ちを狙ったもの」であることは、言うまでもありません。

編集後記

 ここまでハッキリと言及するなど、海外のヘッジファンド、投資家も想定外だったでしょう。植田氏は遠回しですが、「現状のイールドカーブは妥当。しかし、イールドカーブには副作用が存在するので、現在は許容範囲ではあるが、想定外に超えてくれば変更する。」と述べてもいます。
 しかし、一国の金融政策の修正や変更が『失敗が判明する程になったら...』では遅すぎるので、兆候を感じ始めるや否や、内外の著名ファンドや投資家は『円貨』と『日本国債』を空売りすることでしょう。反面、『日本株』は買い進まれるやも知れませんが・・・。
 米国株投資家の私としては、ここまで来ちゃうと、メチャ強力な『ドル高・円安』の進行を期待する以外ありません。頑張れ、植田日銀総裁...。

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