米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

5/10 「利上げ見送り」も難しく、利下げなどトンデモナイ...

 米国の現地時間、10日には「4月の米消費者物価指数(CPI)」の発表を控え、この発表内容を『確かめてからでも、株買いは遅くはない』との思惑が強まっています。確かめるとは何をかなのか、具体的には「6月以降、FRBによる利上げ見送りの可否」に尽きます。いきった投資家などは「秋口には利下げも・・・」の先走りに余念がありませんし...


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楽観的で、自分勝手な願望で動く株式市場・・・

 投資家たちの情緒が支配する株式市場では、常に「楽観的な願望が事実を覆い隠す」ことが行われています。今回のパウエル議長会見も然り。議長のコメントに「利上げ見送りの可能性を示唆する文言」のある・なし議論が結構盛んに行われるなど、自分達に都合の良い解釈を後生大事にして、利益を増大させたいのです。

利上げ見送りを決断させる公的なデータ類が必要...

 そのためには、利上げ見送りを決断させるデータ類が必要です。具体的には、「4月の米消費者物価指数(CPI)」が3月分実績データより低下しなくてはいけません。しかし、市場が予測する4月CPIデータ値は、強力なインフレ全盛を示唆するものなのです。

「4月の米消費者物価指数(CPI)」の市場予測値は・・・

 10日に発表される「4月の米消費者物価指数(CPI)」は、前月比の伸びが3月の0.1%から0.4%に加速するとみられています。エネルギー・食品を除くコア指数は前月比0.4%、前年同月比5.5%上昇する見通しです。この数値は、誰がどのように捏ね繰り回しても『インフレ抑制が進んでいない』と受け止める数値です。

米10年物債券利回りの上昇、ドル高、株安に動きやすい・・・

 米地銀株の不安定な株の動き、米政府の債務上限問題などへの警戒が強まっていますが、この解決はバイデン政権の仕事であって、FRBの取り扱い範疇にはありません。FRBは物価の上昇抑制です。もっとも、今般の預金騒動の結果、銀行融資が厳格化されてインフレが鎮静化する等との観測も出ていますが、融資行為に速効性などありません。

(結論)早急には、金利の低下など起りようがない...

 昨今、「利上げ見送りを早食い」して、強まる債券買いから「米10年物債券利回り低下」が現われています。利回り上昇へ反転してドル高へ、長期金利の上昇に伴い米国株の勢いも削がれて来ます。詰まるころ、市場スズメがはしゃぐほどに「米金利の低下は、長く起らない」のです。

銀行預金からMMFへ、資金の大規模な移動が続く・・・

 古典的な取り付け騒ぎが米地銀で発生しています。最近では「ファースト・リパブリック」が破綻処理が施されてJPモルガンが丸ごと吸収しました。更に、5月3日に行われたパウエルFRB議長の記者会見。この僅か1時間後、ブルームバーグ紙は「パックウエスト・バンコープ地銀が身売りや増資などの検討を進めている」などと報じています。
 次々露わになる破綻劇ですが、問題は個別銀行にあるのではなく、行き着く先は預金者たちの『預金の流出や引き出し』行動にあります。


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短期市場の利回り5%超、銀行預金は1%以下...

 米国預金者は、銀行から預金を引き出して短期政策金利に連動したMMF(マネー・マーケット・ファンド)への移し替えを積極的に行っています。
 FRBが短期政策金利を5%超に引き上げる一方、米10年物債券に連動する長期金利が「利上げ停止の願望があって」依然として3%台半ばに止まり、銀行預金利息など1%以下ですから、こうした預金者の動きは当然の帰結です。

全ての銀行で、預金流出の可能性が存在する...

 平々凡々と預金者から資金を単に受け入れてきた旧来の金融機関は、今後すべて影響を受けるのです。よって、どこの銀行CEOであろうと、何をしても預金流出が起こって、止まることがなく続きます。固定金利の債券を保有する限り、金利引き上げ時には対処できる目途すらないのです。

(結論)急激な金利上昇の結果なので、対処できる方策など皆無・・・

 今回の地銀の経営不安・危機に関して、預金の取り付け騒ぎは表面上の要因であって、これには急激に上昇する金利が隠れています。

  嘗ての『公定歩合』の時代であれば、中央銀行が公定歩合を引き上げると、市中ローン金利や銀行の預金利息もすべて同時に引き上げられました。よって、今回のように金融商品で利回りの差が生じる「テレコ現象」など、起らなかったのです。

  このような矛盾なものを放置したまま事を進めると、何処かで綻びが生じるのです。今回、この綻びは「預金流出」でした。

何事も急いては、事を行わないこと・・・

 反省点としては、急速にハンドルを切り過ぎないことぐらいでしょうか? 
 金利引き上げからかなりの日数が経過すれば、いずれは「普通預金の利回り5%」へ引き上げられることでしょう。嘗て日本でも普通預金の利息3%前後の時があったのですから...。すると、MMFから銀行預金へ今と逆の資金移動が発生して「メデタシメデタシ」となります。

編集後記

 昨日コメントした「米国産牛肉が史上最高価格」でも申し上げたように、日本在住者では到底理解できない程に『価格(インフレ)上昇』が猛威を振るい、至る所で起こっているのが、今のアメリカ合衆国です。

5日発表の「4月の米雇用統計」...

 非農業部門の就業者数が25.3万人の増加で、事前の市場予想(18万人増)を大きく上回りました。3.6%予想だった失業率も3.4%という結果となり、いずれも「米国の雇用の強さを示す内容」で、言い直すと、金利の先高観を感じさせる内容でした。


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賃金上昇は最後の最後に・・・

 賃金上昇も他国に先立って、大きく引き上げられていますが、どの国・どの時代でも「最後に遅れてやって来るもの」ですから、生活を守る点で申し上げるなら「少しでも預金利息の高い商品へ預貯金を預け入れる」ことになります。でないと、通貨価値が毀損して購買力を守れないからです。

株式の行き着く先は「富裕層の懐」?

 米国株式に目を転じると、常に株価上昇を期待されているのが株券であって、値下がりが続くならば「卓袱台返し」が起こり資金引き上げが発生します。
 いつの自体であっても、売られた株式の行き着く先は「富裕層の懐」です。ここで数年間眠りについて、次の景気循環期にポーンと表に飛び出して来るのです。


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