米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

5/17 焦り始めた「FRB首脳」、剥がれ始めた「米国株」...

 朝方発表された「4月の米国小売売上高」は、前月比0.4%増とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.8%増)を一応下回りました。但し、自動車とガソリンを除くと0.6%増と増加に転じています。
 結果、依然として『米景気の底堅さ』が意識され、これが『金融引き締めの長期化』につながり、『長期金利の上昇、先々の米経済を冷やす』との見方が強くなって、『幅広い株売り』に繋がったようです。まさに見事な相関図です‼️


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遅々として進まない「債務上限問題の解決」...

 午後から、バイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長の協議が午後3時から予定されていたことも、「結果を見極めてから・・・」的な雰囲気が強く、売買が低調となった向きがあります。結果、バイデン大統領の外遊後に再会談となったようです。気の毒に、副大統領の影が全く消え去っていますから、老体に鞭打って辛いことでしょう。
 しかし、これ程の『出来レース』はないので、私なんぞ、合理主義の米国で「何故?、毎度々繰り返されるか」てんで理解不能です。

資産1千億ドル超の地銀への規制厳格化を検討...

 FRBの金融規制担当であるバー副議長が、資産1000億ドル以上の地方銀行に対する規制の厳格化を検討していることを明らかにしました。下院金融サービス委員会の公聴会で述べ、今夏にも公表したい考えです。柱としては「資本水準を算出する際、評価損を考慮するよう求めることなどが含まれる。」とのことです。
 野党の共和党からは、新規則を作るのではなく既存手段のより効率的な使用を検討するよう求める声が上がっていて、同委員会のパトリック・マクヘンリー委員長は「当局はこの危機を利用して、資本要件を引き上げ銀行規制を厳格化するという長年の懸案事項を正当化した」と批判しています。

長期債券価格が下落、利回りが上昇して「ドル高・円安」に...

 「4月小売売上高」や「5月NAHB住宅市場指数」の(経済活動にとって)良好な結果に加えて、昨日に続き今日のFRB高官達によるタカ派発言を受け、米国債相場が続落して10年物債利回りは3.562%まで上昇しました。しかしながら、2年物債券利回りと比べると1.00%以上も低過ぎます・・・。
 ドル・円は136円62銭まで上昇したもののこの付近で一旦頭打ち。明日以降、重要な節目となる「200日移動平均水準の137円05銭」を目指す展開となっています。

FRB高官達によるタカ派発言

 NY外為市場で、金利上昇に伴うドル買いが継続する中、複数のFRB首脳が積極的な発言を今日も行っています。

  • クリーブランド連銀のメスター総裁は、「公表されたデータを見る限り、金利が十分に引き締め水準に到達していない。」よって、連邦準備制度理事会(FRB)は、「インフレ抑制のためにやっていることを続ける必要がある」と、重ねて追加利上げの必要性を指摘しました。
  • 米リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「労働市場が依然かなり過熱しており、想定されていたほど減速していない。」との見方を主張。必要とあれば、追加利上げも辞さない構えを見せています。

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2023年度中に、インフレ抑制のケリをつけたいFRB・・・

 FRB首脳としては、金融市場は「酢の蒟蒻との解釈を取り混ぜて、十分に市中金利が上昇していないことが一因である。」「一気呵成に長短金利の上昇と、ドル高への進展で輸入物価の引き下げを図って、利上げ期間を最小限度に留めたいのに、市場参加者がFRBに賛同せずに異なる対応を示している。挙句には地銀の破綻だ!・・・」このようなことに、イライラ感を募らせ始めています。

2024年は「大統領選挙の年」なのだ・・・

 FRBは政治とは無関係を装っていますが、2024年は大統領選挙の年なので、金融政策に何かと「横やりが入ること」を避けたいのがホンネです。2022年3月に利上げを開始して、5%超の金利引き上げを行って早や1年が経過したにもかかわらず、何の成果も出ていません。FRBとしては2023年度中に「インフレにケリを付けたい」筈なのです...。

5月17日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は反落し、前日比336ドル26セント安の3万3012ドル34セント(速報値)で終えました。ナスダック総合株価指数も反落して、前日比22.156ポイント安の1万2343.053(速報値)で終えています。冴えない展開が続いていて、「金利や為替の動向が中途半端に推移している印象」を持っています。


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米銀行株空売り、ファンド利益1兆円 株安連鎖に拍車...

 悪名高いファンド勢、米銀株を空売りしたことによる利益は3月から5月上旬までで、計1兆円規模に上り、2008年のリーマン・ショック時並の水準となったと見られています。
 空売りによる株価急落が地銀の経営不安を招き、預金が流出。さらに株価が下落する悪循環に陥りつつあります。これであっても、FRBは「銀行規制を強化する」というのですから、視点がずれているような・・・。


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空売り規制は検討せず・・・

 米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長への書簡で「財務が良好にもかかわらず、大規模な空売りを受けている銀行がある」との問題意識を提起しました。
 銀行株の空売りが「市場をゆがめる」としてSECに実態を調査するよう求めたのです。ゲンスラー氏は同日の声明で「あらゆる形態の不正行為を特定する」と述べました。
 一方、米メディアによると、同氏は15日の講演で、空売り禁止措置は検討していないと述べました。5月に入っても空売り勢は、次の破綻候補を求めて売り圧力を強めています。


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編集後記

 ある程度の想像はしていましたが、ファンド連中は他人のふんどしで相撲をとり、「空売りで1兆円の利益をゲット!」とは流石という以外、他の言葉が出てきません。
 「一気に儲ける」は商売の鉄則です。彼らの利益の源は、一般株主のマネーへであることは言うまでもありませんし、預金保護の原資は銀行連合の積み立て・拠出金の総額ですから、一般預金者・借入者のマネーが源泉です。
 しっくりしませんが、大谷選手もビックリ仰天の1兆円マネー。『あるところには、お金が転がっている』のです。リスクを取っての利益なので「アンタは偉い・・・」


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