米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

5/20 この一週間、「米長期金利の上昇」が逓増している...

 債券利回りが上昇するには、債券価格が下落する(売られる)ことが必要です。本日、次のような事象が株式市場を覆って、米国債10年利回りは3.691%、▼0.96%、+0.035上昇して引けました。朝方には、3.72%と3月中旬以来の高水準を付けています。この一週間はチャート図のように右肩上がりでした。


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米国の債務上限問題の解決が、再び「遠退く」・・・

  • 17日、バイデン大統領自らが「予算を巡って合意に達し、米国はデフォルトを回避すると私は確信している。」と述べたこと。
  • 17日、マッカーシー米下院議長がインタビューで、「最終的に、米国がデフォルトに陥ることはない。」と言明したこと。

 上記のコメントで安心していた投資家は、19日に思い知ることになりました。米債務上限問題を巡る政府と野党・共和党の協議が難航していると伝わり、双方の見解になお隔たりがあることが改めて表明されました。
 米ニュースサイト、パンチボウルは関係筋の話として、債務上限を巡り複数の問題が表面化したと伝えています。以下のように「中断」となりました。この報道を受けて、週末要因と先行き不透明感から株売りが優勢でした。

 共和党の交渉担当者であるギャレット・グレイブス下院議員が、19日の協議を打ち切り、記者団に「生産的ではないため、(協議を)中断することを決めた。」と述べたという。

 週末に協議を再開するかどうかについては、「今はわからない。」と話した。(日経新聞 2023年5月20日 5:02)

米財務長官、銀行合併の必要性に言及し「市場は再び混迷」・・・

 18日、銀行政策研究所(BPI)が開催した会合に、20人を超える銀行の最高経営責任者(CEO)らが出席しました。
 財務省は声明で、イエレン長官が米国の銀行システムの強さと健全性を改めて強調したほか、イエレン長官は、連邦債務上限に議会が対処する「緊急の必要性」についても言及したと明らかにしていました。

 米CNNは19日、複数の関係筋の話として、イエレン米財務長官が18日に開かれた「銀行トップとの会合」で、一連の銀行破綻を受けて、「一段の銀行合併が必要になる可能性がある」と述べたと報じています。(ニューズウィーク日本版 2023年5月20日 02時26分)

 この報道を受けて、19日の株式市場では地銀銘柄への売りが強まり、「KBW地銀株指数」は一時3%を超える下落しました。『次は、何処だ!探し』が活発化しそうです。パックウェスト・バンコープが一時約9%安、ウェスタン・アライアンス・バンコープは一時7%安となっています。

パウエル議長、「6月の利上げ休止を示唆」するも・・・

 長期金利が下げに向かいそうな事柄として、パウエルFRB議長は19日、地銀不安の緊張から生じる信用状況の引き締まりを指摘して、「そうでない場合よりも、ピーク金利は低くなるかもしれない。」との認識を示しました。

結果、6月における「金利の引き上げ確率が大幅に低下」するも...

 官僚特有の奥歯にモノが挟まった微妙な言い方ですが、『6月FOMCで利上げ休止に傾いている。』という事の【明確なシグナル】を、市場参加者に送ったのです。しかし、米長期金利はしぶとく下らずに、無視された感じです。しかし、市場参加者の間で6月の政策金利の利上げ確率が、大幅に低下(25%)したことは事実です。

5月20日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落、前日比109ドル28セント(0.3%)安の3万3426ドル63セントで終えています。ナスダック総合株価指数も3日ぶりに反落し、前日比30.941ポイント(0.2%)安の1万2657.897で終えました。


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米国債1年物利回りが、5%を突破・・・

 金融政策の影響を受けやすい「2年債利回り」は前日比0.01%高い4.27%で終えました。パウエルFRB議長の発言(6月の利上げ停止示唆)を受け、4.19%まで低下する場面がありました。
 しかし、更に米国にはこれを上回る「1年債券」があります。この利回りが何と【5%】を突破したとの記事です。なお、償還期間がもっと短い財務省短期証券(TB)の利回りは、既に5.2%を超えています。
 銀行普通預金や定期預金の最大のライバルが、ここに存在するのです。地銀の経営騒動は、まだまだこれからも続きます...。

編集後記

 金利高の昨今、米国株の強い動きにホトホト驚いています。まぁ、これ以上に「日本株を持ち上げる論評」には、あきれ返っていますが・・・。
 米国株を眺めるとしっかりと利益を出して配当金の支払いを行う企業ではなく、無配当で高PER企業であっても好まれる傾向が一段と強まっています。成長力一本の傾向が強く現れていて、これら成長企業(GAFAMを含む)を平均株価から除外すると、米国株のパフォーマンスは燦々たるものとなります。
 中央銀行である「FRB」が過去15カ月程で5%も政策金利を引き上げたのですから、現金をしっかり稼げない企業であれば、資金ショートしてお終いとなるのが関の山です。


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