6/2 金利引き上げ、ようやく「一時停止の公算」が強まる...
米国が金利引き上げを始めてから1年3カ月程経過しています。この間、一刻の休みもなく「ひたすら、政策金利を引き上げ」続けています。
2022年3月以降10回連続で引き上げ、合計の利上げ幅は5%にも及び、並みの国であれば「経済は腰砕け」しているところ、米国は月々公表される経済指標を見る限り『不死鳥の如く』経済情勢の活況を示しているのです。
米ADP民間雇用者数、5月は27.8万人増-全ての予想を上回る
5月の米民間雇用者数は、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の全てを上回り、景気を下支えする『底堅い労働市場を浮き彫り』にした。
- 米民間雇用者数は27万8千人増。
- ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は17万人増。
- 前月は29万1千人増(速報値29万6千人増)に下方修正。
「Why?」の真実は経済学者の分析に譲ることにして、我々は米国金利がフラットになって、やがては右肩下がりになる時期を想定して、心の準備だけは怠らないようにしておきましょう。思案する必要もなく、頭の片隅に置いておくだけでいいんです・・・。
利上げ一時見合わせ(停止)のシグナル...
6月13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、「利上げをいったん停止」した上で、その後の「利上げ再開カードは残しておく」との『シグナル』が、連邦準備制度理事会(FRB)当局者から相次いで発信されています。そう、「5月の雇用統計発表を控えた市場(6月2日)」が揺らいでいるのです。
フィラデルフィア連銀総裁の遠吠え
米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は、「ウェビナー向けの準備原稿」で、具体的な自身の構想を発表しています。不況風が吹き始める前に、「利上げ見送り」を実施したい意向です。でないと、利下げに追い込まれるからに他なりません・・・。
- インフレ率の低下ペースは「失望するほど遅い」ものの、米連邦準備理事会(FRB)が金利を大幅に引き上げる必要はないかも知れない。
- 今年の経済成長率は1%未満となり、現在3.4%の失業率が4.4%程度まで上昇すると予想。インフレ率は今年3.5%、来年2.5%に低下し、2025年までにFRBの目標である2%に達すると予測している。
- 「一時停止というのはしばらく金利を維持することを意味する」とし、「停止」という言葉は好ましくない。
6月2日発表の「5月の雇用統計データ」次第でしょう。利上げ見送り濃厚ともなると、「ドル・円」の為替動向は、3円以上の『円高』に振れることは間違いなく、円安から円高へのトレンド変更となります。
チョット、待った!
誰もが利上げ一時停止説に賛同しているわけではありません。ローレンス・マイヤー元FRB理事らマネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミストは前日リポートで、次のように指摘しました。
「市場はジェファーソン理事発言を過大解釈している。」「4月の求人件数が増加したため、6月は利上げの可能性が相対的に高いとみている。」と・・・。
6月2日のトピックス
ダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比153ドル30セント(0.5%)高の3万3061ドル57セントで終えました。ナスダック総合株価指数も反発、前日比165.697ポイント(1.3%)高の1万3100.982で終えています。これは2022年8月中旬以来、およそ9カ月半ぶり高値となっています。
半導体のエヌビディアや交流サイトのメタプラットフォームズが値を上げましたが、これなどまさに日替わり対応で、次々と主役の銘柄が替わる好循環です。
MYポートフォリオ
月替わりの本日...。「売りの5月」を乗り越えたことで、米国株は上がることを義務付けられた小鳥のようです。利上げ状況を勘案して、この流れに乗ることを目指している米企業が「値上げ」に飛び乗り、「利益の嵩上げ」を目論んでいます。
編集後記
米下院は5月31日夜、連邦政府の債務上限を停止する法案を可決しました。今後の上院での審議についても、過半数を占める民主党のシューマー院内総務が採決を急ぐ姿勢をみせているので、米債務上限問題への警戒感が一段と和らぎ、次第に株買いが優勢となった様子です。メデタシメデタシ・・・。
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