米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

8/9 UPS、時給49ドルの衝撃! 米インフレ収まらず...

 昨日、米物流大手「イエロー・コーポレーション」が自力再建を断念したとの報道を紹介しました。トラック運転手3万人を抱える大手企業です。
 本日は、更に規模の大きい「米物流大手UPS」が四半期決算を発表、意に反して『米消費の減速』が響いた模様です。採算面では大幅な賃上げが足を引っ張っており、2023年12月期通期の営業利益率見通しを11.8%と従来に比べ「1ポイント下方修正」しています。

UPS、マイナス決算の裏には「人件費高騰」が横たわる・・・

 4〜6月期の国内宅配収入は前年同期比7%減ったほか、企業向けの物流サービスも23%減少した。全体の営業利益は前年同期比21%減の27億8000万ドル、純利益は同27%減の20億8100万ドルにとどまったようです。
 トラック運転手ら30万人が加盟する労働組合と、大規模な労働争議を経て今年7月に合意した賃上げがUPS社の業績に影を落としています。


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UPS、ドライバーの最高時給を49ドルに引き上げる・・・

 フルタイムのドライバー限定とのことですが、何と最高時間給を49ドル(日本円で概ね4,860円)に引き上げると発表がありました。組合を持たない同業の「フェデックス社」も同等の賃金引上げを実施するのは確実です。更に、宅配配送のアマゾン配達員にもこの動きが波及する可能性が強く、「米景気の新たなリスクに浮上」しています。米国では『賃上げや待遇改善を求める労使の争い』が激しさを増しているのです。


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日本の最低賃金1,000円超えなど、可愛いシロモノ・・・

 7月28日、今年度の最低賃金について厚生労働省の審議会は、全国平均の時給で41円引き上げるとする目安をとりまとめました。物価上昇を踏まえ、引き上げ額はこれまでで最も大きく、全国平均で時給1002円となり、初めて1000円を超えましたが、ドル換算値に置き換えると、1ドル=140円としても僅か7.14ドルに留まります。なんと1/7の低水準、何じゃこりゃ...。


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原油価格の上昇が、陰を投げ掛ける・・・

 昨年、高騰した原油価格は米国のインフレ率を40年来の高水準に押し上げました。今年に入り、落ち着いていた原油価格が再びメキメキと上昇し始めたのです。
 指標となる原油価格はこの6週間で21%上昇して、再び、通勤や貨物輸送の費用、プラスチックや肥料から衣服に至るまでの生産コストを押し上げています。最近の上昇は、サウジアラビアとロシアが市場供給を抑制する減産を行ったことによります。更に、米経済の力強さに対する投資家の楽観論も原油価格の上昇に手助けしたようです。
 過去3カ月の間に、ディーゼル燃料の卸売価格は31%、ジェット燃料は33%、ガソリンは18%上昇しています。

(結語)米インフレの収まりには、相当の時間経過が必要・・・?

 FRB高官やアナリスト達は、米国は早々と金利引き上げの停止と相成って、米経済はソフトランディングで落ち込むことなく、安定経済を迎えると力説していますが・・・。
 しかし、企業横断的な米労働組合が強気で待遇改善(賃金引上げ)を掲げて、ストライキを辞さずの強い姿勢で迫っていることから、増加する労働単価を消費者へ転換する『イタチごっこ』が続き、FRBの見通しよりも、想定以上に「インフレの収まり」が遠退くのではないかと見るのが妥当のようです。

8月9日のトピックス

  • ダウ工業株30種平均は反落し、前日比158ドル64セント(0.4%)安の3万5314ドル49セントで終えています。時の経過と共に、株価はジリジリと戻し始めています。
  • ナスダック総合株価指数も反落、前日比110.074ポイント(0.8%)安の1万3884.324で終えました。
  • 今月10日に「7月の米消費者物価指数(CPI)」、同11日には「7月の米卸売物価指数(PPI)」の発表を控えているので、またゾロとFRB高官達の勝手気ままな放言が期待できそうです。

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米地方銀行の格下げで金融銘柄が下げを主導・・・

 格付け会社のムーディーズは7日夜、M&Tバンクなどを格下げしたほか、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンやステート・ストリートなど大手行の格付けを、引き下げ方向で見直すと発表しました。これが地銀株売りに火をつけたようです。格好の売り材料がネギをしょって飛び込んで来たのですから・・・。売り方には美味しい日でした。

MYポートフォリオ

 ポートフォリオ内で保有するディフェンシブ銘柄に対して、少量の指値買いを入れています。通信銘柄やタバコ銘柄など、まさしく「捨て値」となっているからです。
 過去の経験則を紐解くと、投資における勝利はこれら銘柄に集中しています。地味過ぎてて面白くもない銘柄こそが、使え切れない富を運んでくれるのです。


編集後記

 今朝の日経新聞に『米WeWork「事業継続に疑義」』なる記事が掲載されていました。ご承知のように、ウィーワークは株主のソフトバンクグループ(SBG)が再建を支援していますが、経営不振が続いています。今年4〜6月期の赤字で遂に、今後の事業継続に「重大な疑義」があると開示したようです。通常、これが発せられると、破綻は時間の問題です...。


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