3/28 米金融市場が「年内の利下げ開始」で動き始める?...
今日の米国株式市場は、銀行株の上昇で平均株価が上昇。これは「地銀ファースト・シチズンが、破綻したシリコンバレー銀行(SVB)の資産買収で連邦預金保険公社(FDIC)と合意したとのマスコミ報道」を受け、週初めの取り組みとして投資家が好感した結果であると総括されています。
金融資産の買収や合併は、ややっこしい融資案件や融資先を引き継ぐことから、いつの時代も『隠れた瑕疵を見極める能力が第一義、後は運次第』と云われる所以です。
債務不履行(デフォルト)リスクが上昇・・・
超短期的には、銀行を巡るゴタゴタは、「いずれ時間が解決する問題」であったこともあって、投資家としてはさほど心配のタネではありません。売り標的となった銘柄は、売り方の買戻しも順次行われ、52週高値から1/3-1/2程度の戻しまで来ているようです。
今後、公表される四半期決算内容が従来どおりの水準へタッチできるなら、株価下落前の株価復帰が直に適う事でしょう。
市場スズメの呟きは・・・
今回の騒動で懸念されるのは、信用市場における債務不履行(デフォルト)リスクが上昇して、銀行融資が停滞する事です。これを受けて、市場で囁かれているのが『米国の景気後退入り』から『利上げ停止→年内利下げの開始』の循環です。これに賭ける輩がなんと多いことか...。
「5月にも利下げを織り込む」動きを示し始める?
代表的な『2年債と10年債の逆イールド』は、3月8日以降、幾分と改善基調にありますが、一部のアナリスト達は「長短金利差の逆転も依然強く、米国の景気後退入りを強く示唆するもの」との立ち位置で、米国の短期金融市場においては『次回のFOMC(5月2日~3日)で利下げを想定した』動きとなって来ていると分析し始めています。
現在、逆イールドが1973年以来、最大の水準で推移中!
景気後退を強く示唆すると云われている「逆イールド現象」が、特に3カ月物と10年債でシリコンバレー銀行(SVB)以降、1973年以来の最大水準で推移しているとの報道があります。
債券投資家は長い期間の「長期債券」に関して、安い利率であっても投資を行っています。この根底にあるのは、景気後退で長期金利が低下すると「見込んでいるから」に他なりません。詰まる所、FRBの言動を信じていないのです。『FRBには逆らうな』は今や死語になりつつあります。
少なくとも、次のFOMCが金利引き上げの最後の場となる?
10年債の長期金利が低下し続けて、なかなか金利高へ回復しないのも「少なくとも、次回のFOMCが金利引き上げの最後の場。あわよくば利下げまで決行・・・」と投資家が見ている証左です。悲しいかな『FRBには逆らうな』の格言が、既に吹き飛んでいます。
腹に不満を強く持つ投資家達・・・
投資家達は、1年程前にパウエル議長が『米国のインフレは短期で終息する』を繰り返し、米国の利上げを遅らせたこと。この結果が『今の悲惨な光景を招いている』との認識が強く、FRBの政策決定に不信感を強めて、かなりの不満を腹に持っています(笑い)。彼らは、FRBが利上げし過ぎた結果、景気後退を招く懸念を強く抱いています。
3月28日のトピックス
ダウ工業株30種平均は3日続伸し、前週末比194ドル55セント(0.6%)高の3万2432ドル08セントで終えました。ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落、前週末比55.124ポイント(0.5%)安の1万1768.836で終えています。
シリコンバレー銀行(SVB)の引受先が決定する
総括としては、経営破綻したシリコンバレーバンク(SVB)の引受先(米東部ノースカロライナ州地盤の銀行持ち株会社、ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズグループ)が26日に決まった。
破綻処理の進展を好感した買いが米銀行株に入り、米金融システムを巡る過度な懸念が和らいだ。市場心理の改善につながり、ダウ平均を支えました。これで平均株価が下がったとしたなら、後がなかったことでしょう。
用意周到に準備された月曜日・・・
株式市場の関係者は「銀行への資金供給の枠組みの拡大が検討されているとアメリカのメディアが報じたこと。FRB副議長が『翌日の議会上院の公聴会で、金融システムの安全性の維持のため、必要に応じてあらゆる手段を講じる用意がある。』と証言する予定であること。これらが買い注文につながった。」と話しています。週始まりに向けて、用意周到に準備された月曜日でした。
MYポートフォリオ
米長期金利が上昇。相対的な割高感が意識されやすかった高PER(株価収益率)銘柄には売りが出ました。GAFAM銘柄が大きく売られてて下落...。最近、これらの株価上昇が激しかったので、一旦この付近での「利確売り」が盛んだったのでしょう。
編集後記
官民ファンドの出資を受けて有機ELディスプレーを生産している「JOLED」が3月27日、民事再生法の適用を申請しました。負債総額は337億円に上る見込みです。2015年、「JOLED」はソニーグループとパナソニックホールディングスの「有機EL事業を統合」して設立され、パソコン向けなどに独自の生産技術を使った「有機ELディスプレーの生産」を手がけてきました。
しかし、安定した生産に想定以上の費用と時間がかかったうえ、需要の伸び悩みや競争の激化で業績が悪化したことから、自力での事業継続は難しいと判断、民事再生法の適用を申請し事実上の倒産となったのです。
昨今、ハイテク系と云われる日本企業の合併事業がことごとく廃業や倒産の憂き目に遭っています。主たる企業から引き離された部門の伸長する確率、残る確率が如何に小さいか
、本件ではっきりしました。本家の米国シリコンバレーとは大分と異なるようです。
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