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2/19【番外編】税金を支払うためだけに「起業する」のではない...

 18日付の日経電子版に「起業・副業、帳簿の不備で思わぬ税負担 当局が監視強化」なるタイトルの記事(有料会員限定)が掲載されていました。

 以前、当ブログでサラリーマン副業に関する税の取り扱い記事を書き上げたことがありました。① 事業所得と雑所得では取り扱いが異なること。② 確定申告の取り扱いが今回(2022年度分)から行われること。以上です。

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税務当局、安易な「皆、事業主化」の動きを阻止・・・

 今後は、個人事業主、あるいは法人化して、今はやりの「会社も認め始めた副業」に取り組む方々が増加することはあっても、減ることはないでしょう。
 よって、税務当局は、従来の『税の損益通算処理』を適用されて、本業であるサラリーマン給与から頂戴した「所得税・住民税」を減らされてはたまらない(更に、還付申請が増加すると手間が増える)ので、何かとハードルを高める対策を立てました。これが、税務当局のホンネです。
 何故なら、喜び勇んで始めた副業ですが、大多数は「経費倒れとなって赤字」に陥るのが普通です。よって、所得税税の還付、住民税の圧縮が全国的に数多発生します。中には、誤魔化す輩がいるでしょうし…。

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初期、誰でも「赤字から始まる」のが当たり前・・・

 少なくとも初期、サラリーマン、OLの方で副業として事業を始めた方の大多数は「経費倒れとなって赤字」になります。【事業所得区分】であれば、給与から源泉徴収された所得税の戻し(還付)、翌年度の住民税圧縮が受けられるのです。

雑所得区分は、『税の損益通算処理』が認められていない・・・

 しかし、【雑所得区分】に取り扱いが変更されたなら、『税の損益通算処理』が認められていないので、税の戻りはありません。但し、雑所得の利点として、年間20万円までの利益に対して非課税枠があります。

青色申告制度は、事業所得区分のみが対象・・・

 【事業所得区分】で青色申告事業者であると税務署に申請して認定されると、年間65万円の必要経費が自動的に差し引かれます。なお、【雑所得区分】においては青色申告の取り扱いはありませんから、この面でも大損です。

(株式取引)確定申告絡みの当ブログ特集記事

今後、後出し経費を税務署(国)は認めない・・・

 適応開始が2023年1月以降に始まる事業年度からですが、「③ 後出し経費を税務署(国)は認めない取り扱いになること。」があります。

税務処理を疎かにすると、ニッチモサッチも行かなくなる・・・

 ① 税務処理が苦手。② 最初から儲かる筈がない。③ 儲けが出てからでも遅くない。このような個人的な事由から、税務処理を後回しにして、無為無策で過ごしていると、後々、ドエライことが起こるのです。なお、本件に関しては、よくまとまっているWEBサイトをご紹介します。詳細等は専門的な他のWEBサイトを参照して下さい。

 WEB記事は消されてしまうことがあるので、全文を引用します。国税庁の通達文などは、素人を対象としていないから無視していますが、慣れればチェックしておきましょう。

税務調査が厳格化 「後出し経費」が不可に 帳簿不備にもペナルティー


 昨年12月24日に閣議決定した2022年度税制改正大綱では、税務調査での「後出し経費」の規制が見直された。また帳簿の不備に対して追徴課税を上乗せするペナルティーも盛り込まれ、納税者にとってはさらに税務調査が厳しくなることを意味する。


 税務調査の場面では、仮装・隠蔽や無申告を指摘された納税者が、それまで申告していなかった簿外経費を持ち出して所得を減らそうとする〝後出し〟をすることが少なくなかった。


 こうした簿外経費を大綱では、「適正な記帳や申告が行われていない納税者については、真実の所得把握に係る税務当局の執行コストが多大で、行政制裁を適用する際の立証に困難を伴う」として、簿外経費の〝後出し〟で「悪質な納税者を利するような事例も生じている」ことから、厳格化に踏み切った。


 23年からは、仮装・隠蔽・無申告のいずれかがあった年の確定申告書に記載されなかった経費については、帳簿書類などにより費用が生じたこと、支出先の相手先が明らかであり反面調査によって支出が確かめられることなどの条件を満たす場合を除いては、原則として損金にできないこととされた。


 また過少申告加算税および無申告加算税については、税務調査時に調査官から求められた帳簿を提出できなかったり、売上金額や収入金額の記帳が不十分だったりしたときには、通常の過少申告加算税や無申告加算税の額に、ペナルティーが加算される見直しが盛り込まれた。


 具体的には、帳簿を提出できないか、提出したとしても売上金額または収入金額の2分の1以上が記載されていなかったときには本則の加算税に10%が上乗せされる。たとえ提出したとしても、売上金額または収入金額の3分の1以上が記載されていなかったときは5%が上乗せされるというもの。2024年1月以降に法定申告期限が到来する国税に適用される。

提供元:エヌピー通信社(税ニュース 2022.01.07)

無申告、重加算税の納税者には「簿外経費」の損金算入を認めない・・・

 法人や個人事業主の税務調査が行われて、確定申告の無申告や重加算税の対象となった納税者に対して、今後、税務当局は「簿外経費」の損金算入を認めないことにしたようです。
 納税者の悪あがきに対して、税務職員としては「ある程度、スムーズに事を運ぶため」にも、少なからぬ【匙加減】を行っていましたが、今回の措置で廃止通達を行って、一度整理したようです。

これなど、「後出し経費」に分類されるのか?

 認めない項目や事象の範疇のライン引きですが、例えば、公共料金の経費認定などの算入漏れがあります。明確な領収証が存在するが、経費帳も作成せず、帳簿類への記載はない。
 さてさて、これは「後出し経費」の範疇に分類されるのか否か。今の段階では「税務当局の問答集がない」ので、お応えできる回答は不明です。この種の事なとはこれからの事ですから、WEB上でチェックを欠かさない事です。


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起業する際、まずは「税の支払いを第一義」に考える・・・

 こんなにも煩わしい「税の支払い」。国民の義務とはいえ、煩雑な付帯業務を極力避けるため、事業を始める初年度から日本国が定めた「逸脱しない会計・税務処理を徹底」させることです。結局、遠回りと思える道筋が近道となるのです。

税務処理は費用と時間が掛かり、税の無申告放置は愚の骨頂!・・・

 起業主は、税務処理に関して、次の4項目のいずれかを行う必要があります。対応しないで放置しておくと、いずれは所轄の税務署員が『確定申告の無申告』として税務調査に訪問することでしょう。


① 税理士に相当額の委託料を支払って、経理処理の代行を依頼する。
② 会計、経理知識のある従業員を雇用する。
③ 会計ソフトを購入して、コツコツと日々帳簿付けを行っていく。
④ 思い切って、あなた自身が経理実務スクールに通って知識を取得する。

5年前~7年前までを遡る税務調査・・・

 5年前(悪質なら7年)まで遡り、税務署員はガッポリと「所得税、住民税、消費税」、儲けが大きければ「事業税」、付随する「過酷なペナルティ税(無申告税、加算税等...)」を毟り取って消え去ります。
 担当した税務署員のボーナス増額、出世街道を昇り詰める「彼ら・彼女らの高笑い」が、ここまで聞こえて来そうです。

過去の事柄をプロに詮索されると、何かとボロが出る・・・

 少なくとも、利益が生じた年度があれば確定申告を行いましょう。利益がマイナスの場合でも、確定申告を提出するのはベターなことです。なお、消滅時効は5年、悪質の場合は7年と決められています。見事、逃げ切ればラッキーですが、例えば3年程経過して税務署から税務調査に入られると、満足に応対できる奇特な方は多くありません。

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本業の懲戒解雇まで発展する場合もあり・・・

 更に、無申告や利益過小申告、仮装・隠ぺい決算を行ったりすると【脱税行為】となりますから、副業であれば本業の懲戒解雇(就業規則で明記されている「著しく会社の名誉信用を傷つけた」等)の対象となってしまいます。

儲けが多きくなればなる程、税務処理にも力を入れるべし!

 私の経験から申し上げて、利益額が増加すればする程、税務署から狙われ易くなります。また、控除額を引き下げられた相続税も馬鹿に出来ないです。

ナンバーカードの適応範囲が広がり、網を掛けられている・・・

 更に、ナンバーカードの適応範囲を広げて税の網を網羅すること、併せて社会保険の収入合算化を時の政府が狙っているのが、今では見え見えです。

結論、副業には経理処理や税務処理が必ずついて回る・・・

 いずれにしても、相当の費用と時間、煩わしさが付きまといます。起業化するということ、副業を行うということは、この『経理処理や税務処理』が自ずと付きまとう事だと思って下さい。安易に副業を始めても、儲からなければ資産(お金)と時間が無駄ですし、多少の利益が生じると、『経理処理や税務処理』が現実問題としてあなたを直撃します。よって、私たちは大きな声で次のように叫びたいです。

税金を支払うためだけに「起業する」のではない、と!

編集後記

 私自身の体験談として、税の取り扱いは年1回の確定申告に限るとしても、仰々しくて支出も伴って大変でした。過去形で記したのは、既に個人事業は実質的に廃業の一歩手前、法人事業の2つの会社は事実上の休眠状態(確定申告は提出済み)にしています。サラリーマンは既に離職して、今では名もない投資家一本で暮らしています。

もうすぐ大物登場、「インボイス制度」・・・

 今回、敢えて「インボイス制度」を取り上げていませんが、これなどは幅広く取り引きを考えている個人事業主に向けた嫌がらせ以外の何ものでもなく、副業として取り組んだ大概の個人事業主は、インボイス直撃弾(消費税課税業者=納税義務者)で轟沈されてしまうことでしょう。
 令和5年10月1日からインボイス制度が導入。令和11年9月30日までは何やら経過措置がありますが、消費税課税業者にあらずんば、誰も取り引きしないのは最早明らかです。

事業化は、何としてでも「経費倒れを避ける」必要がある・・・

 このような経験を持っている私なので、今回の税務当局の内部通達を見ると、「じゃあ、経費倒れを避けて、どうすれば利益を最大化できるんだ。税理士とタッグを組んだ税務当局さんよ!」と自問自答してしまいます。税の雑務を事業主へ偏らせる仕組みが強化されているので、『官業が栄えて、個人が低迷する』光景を想像してしまうのです。

白色申告制でも、記帳作成が求められる時代に突入・・・

 現在、事業所得、不動産所得、山林所得のある「税の白色申告対象者」でさえ、収入金額の多寡にかかわらず、記帳、帳簿や書類の保存が義務付けられています。
 税務・会計処理が煩雑だとして税の無申告を貫いたりすると、挙げ句の果てには多額のペナルティ税の支払いを課され、政府に儲けの大半を持って行かれます。我々を取り巻く、税と社会保険の支払い包囲網ラインが引き上がっているのです。

起業家を目指す皆さん方へ、若鷲に捧げる・・・

 副業とは、退社後にコンビニでレジ打ちアルバイトをして、糧(賃金)を稼ぐことではなく、事業を起こして「一角の城主を目指すこと」に他なりません。高くジャンプするためには、低くしゃがんでから飛び上がることです。


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